CD/DVDの仕組み
CD編
CDの構造
まずはまっ平らのCDのどこにどうやって大量の情報が書きこまれているのかを解説しましょう。
CDの断面は保護層、反射層、樹脂層の3層構造になっていて、 データは反射層の無数の突起として記録されいます。
図からわかるように分厚い樹脂層の傷は磨きなおせば治りますが、 保護層の傷はデータそのものが破壊されるので致命傷です。
反射層の平らな部分を「ランド」、突起部分を「ピット」といいます。
ピットはレコード盤と同じように螺旋状に並んでいますが、 12cmのCDも8cmのCDも同じ位置からスタートするよう内から外へ向かって配置してあります。
ランドは光を反射しますがピットは反射しないので、 データを読み取るときはこの螺旋に沿ってレーザー光を照射して反射光が帰ってくればランド、
帰ってこなければピットであることがわかるのです。
音楽CDとデータCD
音楽CD
音楽が録音してあるCDを音楽CDまたはCD−DA(Digital Audio)といいます。
音の正体は空気の振動波です。アナログオーディオ(レコード盤やカセットテープ)はこの波をそのまま記録しますが、
デジタルオーディオであるCDは波を細かく区切って数値化したものを記録します。 「デジタル」とは数値化するという意味なのです。
CDのもっとも内側には「TOC (Table Of Contents) 」という演奏時間や各曲の開始位置などを記録した領域があり、
CDプレーヤーはここを読み込んで演奏時間の表示や素早い頭出しを行っています。
一度録音したCDに後から追加録音した場合、 新しいTOCが後ろに追加されるだけで先頭のTOCはそのままなので 従来のプレーヤーでの再生は保証されません。
データCD
パソコンデータが記録してあるCDをデータCDまたはCD−DATAといいます。
文章・画像・プログラムなど何でも書き込めるので、大量のデータの保存や配布に利用されています。
音楽CDと違い後から書き足すこともできますが、 データの先頭と末尾に印を付ける「CDを閉じる」
という作業をしないと従来のCD−ROMドライブからは読み込めません。
一枚のディスクに一回だけ書き込んで閉じる方法を「ディスク・アット・ワンス」、 上図のように数回に分けて書き込んでから閉じる方法を
「トラック・アット・ワンス」、 毎回閉じる方法を「セッション・アット・ワンス」といいます。
「AUDIO」と「DATA」
どんなCDでも音楽データを書き込めば音楽CDとなり パソコンデータを書き込めばデータCDとなります。 しかし「AUDIO」、「DATA」と書かれた2種類のCD−R/RWが売られているのはなぜでしょうか。
両者は材質・構造ともにまったく同じ物なのですが 「AUDIO」には著作権保護の為の補償金が価格に上乗せされ「DATA」と区別する為の印が書き込んであるので、 オーディオのCDレコーダーは「AUDIO」にしか録音できないようになっています。
オーディオ用CDレコーダー | CD−R/RWドライブ | |
---|---|---|
CD-R/RW for AUDIO | ○ | ○ |
CD-R/RW for DATA | × | ○ |
また最近は音質向上の為に反りや揺れなどの起こりにくい素材を使ったり、 反射率の高い反射層を持つ「AUDIO」製品もあるようです。
CD−ROM/CD−R/CD−RWの違い
CD−ROM
ROMはRead Only Memory(読むだけのメモリ)の頭文字です。 冒頭にあったCDの断面図は実はCD−ROMのものです。 CD−ROMは初めからデータが書き込んであるCDで、 アーティストの音楽CD、 パソコンショップで買ったアプリケーションソフト、 雑誌の付録CDなどの殆どはCD−ROMです。 あらかじめピットの型を取って工場でプレスするので 同じ内容のCDを安く大量に生産できるのが特徴です。
CD−R
RはRecordable(記録できる)の頭文字です。
CD−Rは自分で好きなデータや音楽を書き込むことができるCDです。 記録できる秘密はCD−ROMには無い有機色素の記録層にあり、 これを強力なレーザー光で熱してピットを形成していきます。
レーザーで焼いてしまうので書き換えは不可能ですが、 逆にうっかり消すと困るようなデータの保存に適しています。
ピットを書き込むコースに沿ってグルーブという案内溝(図では上下逆なので盛り上がっている)があります。 溝には現在位置情報を波に変換したものが練りこんであるため左右にうねって(ウォブリング)います。
CD−RW
RWはReWritable(再び書き込める)の略語です。
CD−RWはCD−Rと同様に自分で書き込めるうえデータの書き換えが可能です。
記録原理は特殊な合金に加える熱と冷却時間によって原子が不規則に散らばった状態「アモルファス」と規則正しく並んだ結晶状態「クリスタル」に変化する相変化現象を利用しています。
アモルファスは光の反射率が低いのでピットの役割を果たし、 クリスタルは反射率が高いのでランドの役割を果たすのです。
再びレーザー光で熱すれば何度でも相変化させることができるので書き換え可能となりました。
CD−Rと違い何度も加熱する事になるので記録層を保護する 誘電層が上下に配置してあります。
CD−RWは従来のCDプレーヤー・CD−ROMドライブでは読み込めないという欠点があります。 CD−ROM/Rの反射層が65%以上の反射率なのに対しCD−RWの層変化方式では25%の反射率しか得られず正常に読み取れないのです。
知らないと損をする諸性質
CDの長所と短所
長所はなんと言ってもその価格でしょう。 CD−Rは1枚で100円前後、 数十枚のパックなら一枚50円程度にもなるその価格は数あるディスクの中でも群を抜いて低価格です。 CD−RWは数百円ですがやはり他のディスクよりも安価です。 (2002年3月)
短所は書き込み作業が面倒であるという点でしょうか。 他のディスクがドラッグ&ドロップで簡単に保存できるのに対して、 CD−R/RWは毎回書き込み用ソフトを立ち上げなければなりません。 CD−R/RWは頻繁に変更されるデータの保存には向かないのです。
RかRWか?
「CD−Rが書き換え不可能なのは本当にデメリットか?」という点について考えてみましょう。 レンタルCDをカセットテープにダビングしていた時代は毎回新しいカセットテープを用意していたと思います、MDでも同じでしょう。
CDの場合も同様に違う内容を書き込むときは新しいCD−Rを使うのではないでしょうか。 また「一度しか書き込めない」とは言ってもデータCDなら書き足すことも可能なのでディスクがいっぱいになるまでにかなり書き込めるのです。
では逆にCD−RWについてはどうでしょうか。 実はCD−RWは一部分のみの書き換えが不得意で、 全体を一括消去して初めからデータを書き直す方式がほとんどです。 しかもCD−RWは従来のCDプレーヤーやCD−ROMドライブでは読み込めないのです。
以上のことから音楽CDやデータの受け渡しにはコストも安くどんなドライブからでも読み出せるCD−Rを使い、 データのバックアップなど定期的に書き換える場合にはCD−RWを用いるのがよいでしょう。