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CD/DVDの仕組み

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DVD−RAM

更新日:2007年06月13日

DVD−RAMとは

書き込み型DVDには数多くの種類がありますが、ここではDVD−RAMについて説明します。

「RAM」は「Random Access Memory(無作為に読み書き可能)」の略で、 DVD±RWと違って始めからハードディスクのように自由にファイルの更新・削除ができるDVDです。

DVD−RAMはDVDフォーラムの規格ですが、 他の全ての種類のDVDと互換性がなく、一般のDVDプレーヤーでは再生できません。 DVD−RAM対応の製品には下のようなロゴが付いています。

DVD−RAMロゴ

DVD−RAMの特徴

DVD±RやDVD±RWはDVD−ROMと互換性があるためディスクの見た目もそっくりです。 しかしDVD−RAMは一目でわかる大きな外見的特徴があります。

一つはディスクがカートリッジに入っているという事です。
DVD−RAMはPCの記録装置として使う事が考えられているので高い信頼性が要求されます。 そのため傷やホコリからディスクを守るためにカートリッジに入っているのです。
しかしこれではDVDプレイヤーで使用することができないため、 カートリッジからディスクを取り出すことができるDVD‐RAMもあります。
最近では始めからカートリッジに入ってないDVD−RAMも多くなりました。

DVD−RAMカートリッジ      DVD−RAM記録面

もう一つの違いは記録面に規則的に細かい線がたくさん入っていることです。
ビデオなどのAV用途ではディスク先頭から順番に読み書きしますが、 PC用途ではどこからでも読み書きされます。
そのためデータの読み書きを速くするためにディスク上に頭出し用のマークが大量についているのです。

RAMとRWの関係

DVD−RAMはビデオ録画よりもPC記録装置としての用途を重視しており、 10万回以上の書き換えや読み書き時の頭出しの速さ、カートリッジなどの高信頼性を特徴としています。

一方DVD±RWはビデオ録画の用途を重視していて多くのDVDプレーヤーでも再生することができますが、 基本的に一括消去であることや書き換え回数が数千回であるなどPC用途には向きません。

DVDフォーラムは、初めビデオ録画用もPC記録用もRAMのみを製品化するつもりでした。
しかしDVD−ROMと互換性の無いRAMはビデオ録画用途に向かないと考えたメーカー数社がDVDアライアンスを立ち上げてDVD+RWを作ったため、 DVDフォーラム側もDVD−RWを作りました。

PC記録用のRAM、ビデオ録画用のRW、というように住み分けができればよかったのですが、 RAMの構造があまりにもROMと違いすぎるため、 PC用途でも互換ドライブを安く作れるRWの方がRAMよりも普及する結果となりました。



ディスクの構造

DVD−RAMは記録層の性質上、 小さなピットを作る事ができないので、 ±Rや±RWでは使っていなかったランド部分にもピットを記録することでDVD−ROMと同じ片面4.7GBのデータ量を確保しています。

また、プリピットの位置も独特です。
いくつかのグルーブをまとめて横断するように、ディスク内の位置情報を記したプリピットが配置されています。 こうする事で読み書きの時に非常に高速かつ正確な頭出しが可能となっています。
ディスク記録面に見える規則的に並んだ細かい線は、このプリピットです。

DVD−RAMの構造

樹脂層 ポリカーボネート製の透明な層
誘電層 熱から記録層を守る
記録層 相転移でピットを形成する
反射層 レーザー光を反射するアルミ製の層
保護層 傷、歪みなどからデータを護るUV硬化樹脂の層
接着面 表裏2枚の基盤を接着する


RAMとRWの違いは合金の違い

DVD−RAMはDVD±RWと同じく相変化記録を用いていますが、 記録層に用いられている合金が異なります。

DVD±RWで使われている銀・インジウム・アンチモン・テルル(AgInSbTe)合金は繰り返し記録による劣化が早い代わりに DVD−ROMと同じ細かくシャープなピットを作る事ができるので、DVD−ROMと互換性を持たせる事ができます。

一方DVD−RAMで使われているゲルマニウム・アンチモン・テルル(GeSbTe)合金は細かいピットを作る事はできませんが、 劣化に強いため10万回以上の書き換えが可能になっています。

ピットはアモルファスではなかった!

反射率の低いピットの部分は、長い間クリスタル(結晶)ではなく原子が不規則に並んだアモルファス(非結晶)の状態であると考えられていましたが、 最近の研究で少し歪んではいるものの規則的な結晶構造をもっている事がわかってきました。
実はこれまで、どのような原理で記録・消去の相転移が起こっていたのかよく判っていなかったのです。

相転移の原理が解明された事で、次世代のビスマス・テルル系合金など、記録層の研究がさらに進むものと思われます。
将来的には、より高速で大容量な書き換え型光ディスクの開発が期待されています。


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