CD/DVDの仕組み
DVD±R DL
DVD±R DLとは
書き込み型DVDには数多くの種類がありますが、ここではDVD−R DLとDVD+R DLについて説明します。
DVD±R DLは一度だけ書き込みができるDVD±Rを2層化したものです。
「‐DL」は「Dual Layer」の略、「+DL」は「Double Layer」の略です。
DVD−R DLは企業団体DVDフォーラムの規格、DVD+R DLは企業団体DVD+RWアライアンスのDVD互換規格です。
この二つの規格は互いに互換性がないのでディスク購入時には自分のDVDプレーヤー/DVDドライブがどちらに対応しているか前もって調べておく必要があります。
対応しているパソコン用DVDドライブやビデオ用DVDレコーダーには下のようなロゴが付いています。
左がDVD−R DL、右がDVD+R DLのロゴです。
DVDプレーヤーでの再生互換性
DVD±Rは多くのDVDプレーヤーで再生できる事が特徴でしたが、
DVD±R DLの場合は状況が異なります。
まずブックタイプですが、DVD−R DLはブックタイプを変更できないので「DVD−R DL」としてしまうと古いDVDプレーヤーでは認識できなくなります。
そこでDVD−R DLのブックタイプには従来から存在する「DVD−R」が使用されています。
一方DVD+R DLは記録時にブックタイプを「DVD−ROM」に変更できるので正直に「DVD+R DL」となっています。
ブックタイプのチェックが済むと、次にメディア特性(反射率やレイヤー数)のチェックが行われます。
するとDVD−R DLはブックタイプが「DVD−R」なのにレイヤーが2つある、DVD+R DLはブックタイプが「DVD−ROM」なのに反射率が低い、
などの理由でプレイヤーによってはこの段階で「不正なメディア」として弾かれてしまう場合があります。
それ以外にも古いプレーヤーでは「再生途中で止まってしまう」「メディアが出てこない」などの現象が起きる場合もあるようです。
最近発売されたプレイヤーではDLに対応した製品も増えていますが、前もってメーカーのホームページやカタログなどできちんと調べてから再生させた方がよいでしょう。
とくにディスク登場以前(+DLの登場は2004年春、−DLの登場は2005年春)のプレイヤーで再生させる場合には注意が必要です。
ディスクの構造
基本的にはDVD−Rと同じで、レイヤー0に相当する半透明の記録層、反射層が追加されています。
樹脂層 | ポリカーボネート製の透明な層 |
記録層(レイヤー0) | 有機色素の記録層。熱による化学変化でピットを形成する |
反射層(レイヤー0) | レーザー光を反射する半透明の層 |
記録層(レイヤー1) | 有機色素の記録層。熱による化学変化でピットを形成する |
反射層(レイヤー1) | レーザー光を反射するアルミ製の層 |
保護層 | 傷、歪みなどからデータを護るUV硬化樹脂の層 |
接着面 | 表裏2枚の基盤を接着する |
2つの層への記録方法
データの向き(オポジットとパラレル)
2層のDVD−ROMにはデータを書き込む向きが2通り決められています。
レイヤー0はディスク内周から外周に向かってデータを書き込み、
レイヤー1も同様に内周から外周に向かってデータを書き込む方法を「パラレル・トラックパス」といい、
レイヤー1は逆に外周から内周に向かってデータを書き込む方法を「オポジット・トラックパス」といいます。
DVD±R DLはオポジット・トラックパスのみに対応しています。
2層の切り替え(レイヤージャンプ)
データがレイヤー0からレイヤー1に切り替わる場所を「レイヤー・ジャンピング・ポイント」といい、
レーザーピックアップが行きすぎない為の目印に
「ミドルエリア」という領域が設けられています。
2層DVD−ROMは2つの層に均等にデータを書込むように決められています。
互換性を確保するためにDVD±R DLでも2層に均等にデータを書込む必要がありますが、
具体的にどこでレイヤージャンプを行うかで複数の記録方式が存在します。
もっとも基本的な方式は、書込むデータをほぼ2等分してそれぞれのレイヤーに書き込む方法です。
この方法で書かれたDLディスクはまだ容量に余裕があっても追記できなくなりますが、
一般のDVDプレイヤー/PC用ドライブで読み出せる可能性が高くなるメリットがあります。
別の方式で、まずレイヤー0に書けるだけデータを書いて残りをレイヤー1に書く方法もあります。
2層いっぱいにデータが書かれている「ふり」をするためレイヤー1の最内周にあらかじめリードアウトを長めに書いておきます。
未記録の領域にデータを追記できる利点はありますが、
片方の層にしかデータが書き込まれていない領域ができてしまうため
一般のDVDプレイヤー/PC用ドライブで読み出せる可能性が下がります。
さらに別の方式として、データを2つのレイヤーに交互に書き込む
「レイヤージャンプレコーディング」という方法もあります。
この方式だと常にデータが2層均等に記録されて、しかも追記も可能ですが、
一般のDVDプレイヤー/PC用ドライブでは始めに書き込んだ領域しか読み込めない可能性があります。
この方式を採用しているのはDVD−R DLのみでDVD+R DLでは使用できません。